<医療機関との選手共有>
私たちは泳ぎ方の指導を行うプロではありません。そのため、選手に対して「泳ぎは○○した方がいい」などと曖昧なことは言いません。というよりも、言えません。コーチや先生も一般医療知識についてご存じだと思いますが、その道の医療のプロではありません。そのため、選手の体について私たちが気づいたことや良くした方がいいことなどをお伝えできたらと考えています。 当院では、ケガの部分だけの施術だけをするのではなく、故障の原因を見つけ出し、体全体のバランスを整えていきます。ケガをしない体づくり、陸上での筋力トレーニングなど、日頃のケアの仕方などもサポートしています。しかし、当院で全てをまかなえる訳ではありませんので、その場合には、適切な医療機関を紹介させていただいています。
教えている選手に不調が出たときに信頼できる医療機関を一つ二つ知っていると、よりスムーズに指導が続けられると思います。こんなケガのときどこに行けばいいのか、どこで施術を受ければいいのか等を知識として持つことは、選手にとっても指導者にとっても必要なことではないかと考えています。
参考程度にしていただきたいのですが、私たちがどのように考えているのかをお伝えします。
1.訴えは痛みなのか?違和感なのか?
2.大まかな部位の特定
3.体の状態、姿勢など(アライメント)をチェック(背骨、肩甲骨、骨盤、股関節)
4.可動域や痛みのチェック
5.動的な動きでかばっているところ、負担がかかっているところのチェック
6.筋出力発揮のチェック
7.条件を変えることでの変化のチェック
中枢部の固定性、拮抗筋とのバランス、関節の適合面、インナーマッスルとアウターマッスルのバランスなどを一つの流れとして診ています。
<ドライランドの必要性>
水泳選手は日頃から練習で水の中にいることが多いので、徐々に水泳に特化した体になっていくことで、陸上生活に向かない体になるだけでなく、水泳でも故障しやすくなっていくと言われています。
体幹トレーニングなどのドライランドの重要性をお伝えさせていただきます。体幹を鍛えることで泳ぐ際に身体の軸や骨盤が安定させることができます。それによりフォームが安定した泳ぎになり、水の抵抗を減らすことが出来るため、疲れにくく、効率よく、速く泳ぐことが出来るようになります。
水泳選手は陸上で体を鍛え、重力に負けない筋力、バランスのとれた体にするために、ドライランドが必要であると考えています。
<陸上トレーニング>
陸上トレーニングの重要性もお伝えさせていただきます。スポーツのトレーニングは基本、その競技と同じ動きで鍛えます。ただ、普段の生活は陸上でおくっているので、重力のない水泳に特化した練習は陸上生活に合わない身体になってしまうため、陸上でも重力に負けないトレーニングが必要になります。結果、陸上でも水中でも怪我のしにくい強い身体を作ることができます。
<胸郭の動き>
また、体幹トレーニングと合わせて重要なのが胸郭の動きです。呼吸の際に胸郭の下部に空気を貯めることが出来れば水中で安定感が増します。さらに、胸郭を柔らかく使えるようにすることで、腕と肩甲骨が連動してくれます。
つまり、肋骨についている筋肉や体幹と腕をつなぐ筋肉などの柔軟性を出す必要があるのです。そして、胸郭が動くことができたら、次に腹筋がしっかり働かないとプル初期動作でしっかりとキャッチができないので、泳ぐ前に内腹斜筋、外腹斜筋にしっかりと刺激を入れるようにドライトレーニングをされる方がいいです。
<歪みの改善>
どのスポーツでも言える事ですが、身体の力を最大限に発揮させるためにも筋肉強化は大切になりますが、その筋肉を使いきるためにも骨格・関節の可動性は大切なポイントになります。例えますと、バタ足の時にやや内側に足を傾けることで、太もも外側の筋肉(大腿筋膜張筋)が張ってしまい、骨盤からついている筋肉が引っ張られてしまうことで、骨盤が歪んでしまいます。
水泳選手は骨盤の歪みが起きやすく、骨盤の位置が悪いとキックの際に水の抵抗を受け効率が悪くなります。骨盤の位置が正しくなることで、下半身を高いポジションに維持でき、浮力を得るだけでなく腰の負担も軽減でき、力強いキックが可能になります。
体全体をチェックし、動きにくくなっている部分もスムーズ動かすことできるようになるので、いい練習をすることができると共に、大会に標準を合わせることができます。